autour de 30 ans.

勉強したことを書きます

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

バラード第2番について

リストのバラード第2番(S.171)。1853年、ソナタの直後に完成した作品で、ロ短調という調性や作品の雰囲気からソナタの弟分(演奏時間は約半分です)とみられることが多いようですが、作品の作り方はだいぶ違うように見えます。 ソナタは断片的な性格の動機…

「オーベルマンの谷」について

「巡礼の年」第一年の中核となる「オーベルマンの谷」(Vallée d'Obermann)。大曲群の中でダンテやソナタに演奏頻度は譲るかもしれませんが、代表作の一つとして十分に認められている曲でしょう。初稿の作曲はマリー・ダグー夫人との生活のさなかの1835-36…

超絶技巧練習曲のソナタ形式

超絶技巧練習曲(Études d'exécution transcendante, S.139)から、ソナタ形式で考えられる3曲の話をしようと思います*1。十分に有名な曲なので(それでも題名のせいで損な受け取られ方をしている気はしますが) 説明はいらないでしょう*2。すべての大本にな…

「ダンテを読んで」について

「巡礼の年」第2年*1の最後を飾るのが、「ダンテを読んで―ソナタ風幻想曲」(Après une lecture du Dante: Fantasia quasi Sonata)*2。最初の稿がまだリスト20代の1839年、そこからひたすら改訂を重ねて現行の形に落ちついたのが1853-56年ごろで、出版は185…